許す力
先日、友人と食事をしてきました。
会話の中で、「誰かを許す」ことについて経験談を伝え合いました。
『許せない人を許していかなければ、自分の中の愛情は深まらない』
これは、お互いに一致した考えでした。
多くの方は、許せなかった人や物事について、その時に交わした言葉さえも鮮明に覚えているものではないでしょうか?
人間の感情は、生存をかけて脳が下している判断と言われています。
長い人生の中で、危険回避しなければならない時もあるでしょう。
しかし、今の日本において命の危険が迫ることはそう多くはありません。
とするならば、脳が感じた負の感情を理解する必要があります。
自分の感情も相手の感情も分からないままだと、『誰かを傷つけるエネルギー』になってしまうのです。
野口嘉則さんという「家族関係」「自己実現」の専門家、ベストセラー作家の『鏡の法則』という本の中に紹介されている「許す方法」は、シンプルで素晴らしいものでした。
本の内容に沿ってご紹介します。
まず、許すという言葉を定義しておきましょう。
許すと一口に言っても、相手のしたことをよしとすることでも、大目に見ることでも、自分が我慢することでもありません。
許すとは、過去の出来事の囚われを手放し、相手を非難することをやめ、今この瞬間に心の安らぎを得ることなのです。
許す前にやることがあります。
一つ目に、相手の言動にあなたが振り回されていたり、傷ついている場合、自分自身を守ることが大切です。
例えば、会社の上司からのパワハラやモラハラを受けているのであれば、これ以上被害を受けないようにすること。
その上司にパワハラやモラハラをやめるよう訴えてみて、それでも聞き入れてもらえないのならば、人事部門や外部の相談機関に相談するなどの策を講じる必要があります。
相手から傷つけられる状況を改善しないままでは、相手を許すことはできません。
許す前に、相手と自分の間に適切な〝境界線”を引き、相手から振り回されない状況を作ることが大切です。
2つ目は、感情を吐き出すということ。
相手に対する怒りやうらみ、悲しみや苦しみを外に吐き出す必要があります。
もしもこれらの感情を吐き出さないまま、無理に相手を許し受け入れていると、心も体も影響を及ぼす可能性があります。
人間関係を穏便に済ますために、感情を出さずに我慢してしまう女性は、血流を悪くしたり、止めてしまうことさえあり、脳卒中の可能性が高まるといいます。
また、負のエネルギーが自分に向かい、自己嫌悪に悩まされてしまいがちです。
作者の野口嘉則さんは、自分の思いを紙に書くという方法を提案してくれています。
思いつくままに紙に怒りやうらみの感情をぶつけるような気持ちで書くのです。
怒りやうらみの攻撃的な感情から吐き出せると、その背後にあったつらさや悲しみにしっかりとアクセスができ、それらの感情も十分に吐き出すことができます。
自分と向き合う時間を取り、心の整備をしていけると、自分らしさを取り戻すことができると思うのです。
許しのプロセスは、自分一人で思うように進まない場合があります。
そんな時にはカウンセラーのもとを訪ねてみることをお勧めします。
心の中にあるわだかまりから解放され、自愛に満ちた人生を送れることを願っています。
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