
【慢性疲労症候群と感覚過敏 23歳長女のブログ②】
長女が大学生の時に発症した慢性疲労症候群の症状を大学に説明に行く必要がありました。
ですが、何度伝えても何度文書にしても伝わりにくいと感じていました。
教育関係者や保健室の先生、感覚過敏のお子さんを持つ親御さんに届いてほしいとの願いもあり、長女が記事を書いてくれています。
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慢性疲労症候群と感覚過敏、第1回目は感覚過敏がどのようなものなのかについて、簡単にお伝えしていこうと思います。
本テキストは、私個人の体験をもとにした感覚の知覚、受容、反応を軸にしています。したがって、本内容は全ての人に当てはまるものではなく、その感覚には個人差が多大にあるという点についてご留意いただければと存じます。また、本来であれば感覚過敏のメカニズムについて記載すべきではありますが、字数の都合上割愛し、今後テキストにてお伝えしていく予定です。
本テキストでは、感覚過敏を以下のように定義しています。
[人間に備わっている、外界を感知するための多種類の感覚機能のうち、視覚、聴覚、味覚、臭覚、触覚の5つを抽出し、その上で通俗的な意味合いを多分に含む、前途した5つの感覚を五感と呼称する。脳内の中枢神経系が何らかの理由で特異性を持ち、体性感覚の特異的処理が行われることによる感覚反応異常である。なお、便宜上異常と呼称するが、各器官に機能上の問題は見られないことを念頭に置いておきたい。]
感覚過敏の困難さは個々人が当人の身体感覚を平均的、普通と捉えることにより、その特異性が明らかにされづらく、他者が感覚過敏のある状態を自覚できないこと、当事者は感覚過敏ではない状態が自覚できないことによる、相互認知の難しさに比重が置かれていると感じます。自分一人で抱える感覚過敏ならば対策をとり、対処することができます。しかし、他者を介して感覚過敏が起こるとき、他者に理解されずそれが無いもの、もしくはわがままや気にしすぎといった感情の問題に集約されてしまったときに、困難は形を変えて出現することになります。
私の場合、感覚過敏の困難さは常に他者と共にありました。
CFSによって五感全てが過敏になったことで、食事、当時の住環境の清潔加減、生活音や他人が出す匂いなどが全て不快に感じるようになりました。
家族と同じ環境で生活することが難しくなった結果、家庭内の中で軋轢が生じ、軋轢は不和へと変化しました。家庭内の不和は、感覚過敏を持つものにとってありふれているとともに脱しがたい状態であることが往々にしてあります。意思疎通が柔軟にできず、他人の感覚に敏感、自己的になると、現在困っていることを正確に、互いが理解できる形で伝えることが難しくなります。そうなると癇癪や怒りの発露といった形でしか自分の感情や要望を伝えることができなくなっていきます。前途した一連の流れは繰り返すごとに悪循環となり、感情は醸成され、問題の複雑化を引き起こします。
感覚過敏はほとんどの場合、日常的な刺激の受容により順応することがありません。つまり、当人が不快に感じる感覚は慣れるということがなく、むしろ日常的に過度な刺激にさらされることによって感覚過敏は増幅し、より不安定な状態へと変化する可能性も大いに存在します。
したがって、感覚過敏における一番の対処法は周囲の人間がまず状態を知ること、各機能に応じた環境調整を行うことが求められると考えています。
次回からは感覚過敏の詳細について個別にお伝えしていく予定です。内容としては五感と共に固有感覚、前庭感覚を個別に取り上げ、具体的な事例とその対処を主としたものを予定しています。
参考文献
東京大学大学院教育学研究科臨床心理学コース下山研究室(2015)「感覚過敏に困り感を持つ発達障害児・者への支援の現状と課題」
片桐正敏(2019)「適応障害としての自閉症スペクトラム障害の注意と感覚処理特性」
松島佳苗(2021)「自閉スペクトラム症のリハビリテーション —感覚処理障害に対する理解と支援ー」
長女のブログ①↓
https://counseling-amoretto.com/blog/2895/
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