精神疾患は脳の病気か?
長く考察してきたことの一つ、精神疾患は脳の病気か?というの本を読み、内臓疲労施術をしている者の目線で考えていることがあります。
米国では精神症状を『母親に責任あり』から『脳に責任あり』に変えたと言われています。
現在の通説では統合失調症の原因は神経伝達物質のドーパミン過剰、うつ病はセロトニン不足、不安障害やその他の精神疾患は他の神経伝達物質の異常によるものということになります。
驚くことは、ほとんどの精神疾患患者で化学的なバランスの崩れがあるという確かな証拠がないにもかかわらず、化学的なバランスの崩れがあると説明をされます。
しかし、生きている人間の脳の化学的な状態を評価する方法はないと認識しています。
いわゆる正常な人、精神障害の病歴がない人の脳の神経伝達物質の活性が過剰または不足の兆候があることがあるとの研究データもあるほどです。
化学的な異常は病気の原因というよりも、精神疾患にともなうストレス、行動の特色によって引き起こされるとも考えられます。
さらに精神薬自体が化学的なバランスの崩れを生じさせることもあることはよく知られています。
精神疾患を患う者にとって、精神障害よりも身体的な病気の方が受け入れられやすく、そのように考えたがる傾向にあります。
社会から烙印を押されたかのように感じるためとされており、精神疾患が弱い人間であり努力が足りないと信じる人が未だに多いのも現実です。
しかし、はたして弱いから努力が足りないから精神疾患を患ったのでしょうか?
ピューリッツァー賞受賞のサイエンスライターで米国科学著術者協会の元会長であるロナルド・コチュラックの著作は、一つか二つの神経伝達物質のわずかな変化で、人格や行動を説明できるとする典型的な主張の代表格です。
精神活動のメカニズムの革命的な発見は、多くの人格や行動の特徴がセロトニンやノルアドレナリンの間のバランスで決められるという主張をしています。
ノルアドレナリン濃度が高いと『衝動的で性急な暴力行為』が引き起こされ、ノルアドレナリン濃度が低いと『計画的で冷酷な暴力行為』やスリルを楽しむ傾向が見られるといいます。
一方、セロトニン濃度が高いと、内気、強迫性障害、自信喪失、『過度に抑圧された攻撃性』が見られるようになり、
セロトニン濃度が低いと、うつ病、自殺、アルコール依存症、怒りの爆発、性的異常、衝動的攻撃が引き起こされる傾向があるといいます。
が、生物学的、社会精神的な他の要因を無視することはできません。
複雑な精神や人格の特徴が二つの神経伝達物質のバランスで説明できるという主張は、精神や人格が四つの基本である、体液である血液、粘液、黒胆汁、胆汁のバランスで決まるとしたヒポクラテスの理論に近いのではないでしょうか。
直視すべきことは、精神障害の進行や悪化に重要な役割を果たすことが多い、心理学的要因、身体的要因、対人関係、環境的要因を見つけだすことなのです。
参考文献:精神疾患は脳の病気か?
向精神薬の科学と虚構
著 エリオット・S・ヴァランスタイン
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