【長女の青年前期(中学生)重度の副腎疲労、脳のシステム障害大幅改善】
次女のアトピー・頭痛・起立性調節障害寛解を経て、最重度の副腎疲労の長女の経緯を綴っていきます。
前回のブログ、【長女の学童期(小学4〜6年)】はこちらをチェック↓
https://counseling-amoretto.com/blog/1573/
娘達の症状の経緯が希望になることを願います。
心と体でお悩みの方、お気軽にご相談くださいね。
大学を復学して約3ヶ月が過ぎた長女は、最高気温38℃を超える猛暑の中、たまに休息日を入れながら何とかかんとか通学できています。
院への進学を決めたため、脳疲労に拍車がかかっている感はありますが、以前のように勉強できることが嬉しそうです。
これまでは体の回復のために控えめな生活をしてきましたが、目標を設定することでヤル気が増し、それが自信に繋がっていると改めて感じています。
そんな長女の中学生時代。
あらゆる不調が一気に吹き出し始めました。
小学校までは地元の学校に通い、中学からは中高一貫の私立中学に進みました。
電車とバスを乗り継ぎ、約1時間の場所にある学校は、徹底した勉強時間の確保を謳っていました。
食事・お風呂・睡眠以外の時間を全て勉強にあてましょうという学校で、気力と体力があっても難しいのではないか?というぐらいのハードな生活を送りました。
朝は6時半に出発、
早い時には5時半発、帰宅は19時過ぎ。
娘の体は大丈夫かと、ハラハラしていました。
夏休みに入り、娘は言いました。
『私、もう学校行かないから』
今にして思えば、行かないではなく『行けない』心と体の状態になっていました。
この時に完全に燃え尽きました。
中学1年の夏休みから始まった、朝起きられないから夜眠くないという昼夜逆転生活。
・過緊張状態で頑張り続けたこと
・電車通学になり、ホットスナックやアイスなどの買い食いが一気に増えたこと
・同級生から繰り返しされた言葉の暴力(娘には怪訝な顔をされますが、同級生のストレス値の高さが伺えるものでした)
・夏休みに入りホッと気が緩んだこと
様々な要因が重なり、自宅から出ることを拒むようになりました。
中学に上がる前に用意した携帯は、夜間の娘のモヤモヤを紛らわせてくれるものになっていました。
が、夜間眠れずに携帯の光を浴び続けたことも今の不調を引き起こすキッカケを作っていました。
昼夜逆転からくる携帯の過度な使用、運動不足、日光不足、これらからくるストレス、腸内環境の悪化など、負のループにはまっていきました。
本来、規則正しいリズムで軽い運動や日光浴で自然に活性化されるはずのセロトニンが不足し、自律神経が乱れ、鬱症状や元々強めだったこだわりの強さが更に強固になっていきました。
セロトニンが不足するというのは、それを作り出すミトコンドリア機能が落ちたということでもあります。
本人も家族も大変だったこの時期。
大変過ぎると人は思い出すこともできなくなります。
心が耐えられない辛さを感じている時、いつもの記憶の仕方とは異なる方法で、別の場所に記憶されます。
その為、他の記憶のように思い起こすことができません。
こうやって、辛い時期を忘れたかのようにできる人間の能力は、娘の心を守ってくれていました。
本人の心が耐えきれない辛い体験を受けているとき、いつもの記憶の仕方とは異なる方法で、脳の別の場所に記憶されることを『解離性健忘』といいますが、他の記憶のようによみがえらず、思い出すことができないのです。
理論的には、解離性健忘を発症させその健忘状態を維持する脳内機序として、二つの見解が述べられてきました。
一つは精神的ストレスが前頭葉の認知コントロール・遂行機能システムを作動させ、その活動が内側側頭葉や間脳の記憶システムを積極的に抑制することで記憶の想起が抑制されるというもの。
もう一つの説は、外傷的出来事によって誘発されたストレス関連の神経伝達物質やホルモンの放出により、特に右半球の前頭–側頭領域のネットワークが機能的に遮断されるというもの。
時を同じくして一年間失声症も患いました。
失声症の原因は心因性が主と考えられていますが、解離性健忘と失声症の関係という論文もあり、感染症、アレルギー、声帯損傷、神経障害、発達障害の一つである自閉症スペクトラム障害(ASD)との関連性もあるとされています。
長女の場合、自閉症スペクトラム障害という脳の気質が基盤となることで生まれ持って光や音への敏感さをもち、コミュニケーションの取りにくさがあり、小学2年の時にあった将棋倒しの下敷きになったことがキッカケとなり解離性健忘や失声症を発症したのであろうとみています。(長女の学童期(小学1〜3年)ブログ)https://counseling-amoretto.com/blog/1510/
発達障害の場合、脳機能が上手く働かないことにより、情報の整理が上手くできず、ものごとをそのまま記憶しようとして、記憶の容量がいっぱいになりやすい面もあります。
記憶の処理がいっぱいいっぱいになるため、情報を切り離すしかなくなり、健忘に繋がることもあるということです。
また、そのまま記憶した過去の嫌な出来事がフラシュバックすることもあります。
そして、生き延びるための人間のシステムが、娘を救ってくれたということでもあります。
ここまで書いて思うこと。
こういった諸症状をもつ方にとって、心と体の理解者がいることがどれだけ大切か?ということです。
通常なら家族からも社会からも責められ、自分で自分を否定してしまいます。
人は理解してくれる人がいないと思うと、自暴自棄になりがちです。
たった一人でも自分の気質を分かってくれる人がいる。
あなたは悪くないと言ってくれる人がいる。
だからこそ前を向いて生きようと思えるのだと私は思うのです。
参考文献
ICD-10 精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン(新訂版)(医学書院)
解離性障害のことがよくわかる本 影の気配におびえる病(講談社)
著者 精神科医 東京女子大学教授
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