【植物薬理学のための渡仏記 転(七転ハ起:2)
次回の北海道帯広市への出張施術は2026年10月29日(木)、30日(金)になりました。
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長女は長い間、不調に苦しんできました。
一日のほとんどを寝て過ごすほどの過睡眠、ガス腹、歯ぎしり、強い頭痛や腰痛、副鼻腔炎、思考の止まらなさ、光音匂いなどの感覚過敏、解離性障害、全身の疼痛で思うように体が動かない状態。
できることが限られ、思い描いていたような生活を送ることも難しい時期がありました。
そんな長女が、今回の渡仏では、次々と予想外の困難に直面することになります。
初めての海外で、言葉も習慣も違う土地。予定通りにいかないこともあれば、自分ではどうにもできないこともある。
それでも私は、不思議と大きな不安を感じていませんでした。
きっと、大丈夫。
そう思えていたのです。
もちろん、何が起きても平気だという意味ではありません。
これまで体と向き合い、一つずつ積み重ねてきた時間が、決して無駄でなかった。
長女の中に、自分で稼ぎ考え判断し困難に直面しても何とか乗り越える力が育っている。
そう感じられるようになっていたからだと思います。
体治しは、症状が軽くなることだけが目的ではありません。
その人が自分の力を取り戻し、自分の人生を歩いていけるようになること。
そして、そばで支える家族もまた、その人を信じて見守れるようになっていくこと。
今回の渡仏記を読みながら、私自身も、これまで歩んできた時間を振り返っています。
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さて、2日間の旅程を終えて漸くパリはシャルル・ド・ゴール空港へと降り立った。ちなみに到着した日の気温は午後7時ながら32℃ほど、日没が遅いことも相まって、ほの明るい日差しとともに汗ばむほどの気候であった。長旅で疲れた体に眩しさと暑さはなかなか堪えるものだったが、この後帰国するまで猛暑と日差しにやられ続けるとは知らず、約10日間の旅程が始まるのだった。
驚くことにパリのメトロは一定以上の大きさの荷物をもって乗り入れると罰金になるそうで、空港から宿泊地まではUberで移動、1時間ほどでパリ郊外の宿泊施設に到着した。
宿泊場所は閑静な街の一角にあり、老紳士が一人で経営している。伝統的なフランス郊外の住宅で、門があり、リビングと応接スペース、奥にはヤドリギと野薔薇が植えられたガーデンと離れがある。宿泊の際の注意事項と諸説明、自己紹介と歓待のひと時を経て、この日は休むことにした。
翌日、朝から食材と日用品の買い出しに出る。ここで昨日までの違和感が確信に変わった。
暑すぎる。
パリの緯度は北海道とほぼ同程度で、6月の平均気温は20℃前後、どれほど行っても30℃程度であることが常の状態であったはずである。しかし、朝10時頃に買い物へ出た時点で気温はとうに30℃を超えていた。
茹るほど暑く、日差しは網膜と皮膚を突き刺し、空気は熱風となって鼻腔を焼くような、まるで日本の酷い夏のような暑さを遠くに見える陽炎とともに実感していたのである。
なんとか買い物を終え、帰宅した筆者を迎えたものは、外気温とさほど変わらない家の温い空気である。この家には備え付けのエアコンがついていないのだった。
日本で、真夏の中、家に帰ったらエアコンが壊れていた時の気持ちを味わったことはあるだろうか?筆者はこの気持ちを今回の旅行で初めて、そして幾度となく味わうことになった。
到着して2日経つ頃から気温は40℃を超え、屋外の温度計はほぼ毎日43℃を指していた。先ほども書いているが、フランスの夏の平均気温は30℃ほどで、この気温になることは通常ありえないことであると現地に住む人が繰り返し話していた。
そしてまた問題が出てくる。
機械がこの温度に対応していないのである。具体的には冷蔵庫と冷凍庫がうまく動作しない。機械には使用可能温度というものがあり、基本的に高温になることがない欧州は、そのほとんどが30℃程度に設定されている。そのため、今回の高温では多くの業務用、家庭用冷凍庫が使用不可になってしまっている様がニュースで流れていた。宿泊した場所の冷蔵庫も壊れはしなかったものの精々がちょっと涼しめの直射日光が当たらない箱程度の冷却機能になってしまい、加工していない肉類などはかなり早く傷んでしまったため、筆者は頻繁に買い出しへ出ることを余儀なくされた。しかし幸いなことに近所のスーパーは故障を免れたため、毎日のように氷を買いに赴いていた。
今回の高温が引き起こしたものは機械の故障だけではない。線路の膨張、湾曲による鉄道の機能不全、アスファルトの融解、電力低下、山火事、市長による川飛び込みの許可と一部階級のみ冷房割り当て、大量の死者、筆者の熱中症など、領域を横断し多岐にわたっている。本当にとんでもない時に来てしまったものだと文字通り痛感した。
植物薬理学のための渡仏記 転 (七転八起:3)に続く
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